ドラマ「凍てついた愛」で、いじめ首謀者ジュンソクの母ウンジュを演じたチョ・ヨジョン。
同年のチョ・ヨジョンは映画「パラサイト」が大ヒットし、凍てついた愛も好評でまさに全盛期を迎えた女優さんです。
よって凍てついた愛の日本の告知もチョ・ヨジョンメインになっていますが・・・。
告知のチョ・ヨジョンメインは仕方がないにしても、タイトルが「凍てついた愛」というチョ・ヨジョン視点なものなのがおかしいよな。(原題は美しい世界)
※ネタバレ表現あり
ウンジュは悪役とはいえ、決して性格に難があるタイプの人物ではないんですよね。
ただ息子を守ろうとするがあまり罪を犯してしまい、親友だったイナとも関係が悪化してしまい・・・。
ただの悪人ではなく、形が違えば誰だってウンジュのようになってしまう可能性があるというキャラですね。
登場したときから、なにか秘密を抱えていそうな雰囲気だったウンジュ。
ソンホの転落事故当日のウンジュの行動が明らかになったところから、ドラマもストーリーがどんどん進んでいき面白くなりました。
ソンホの転落は息子が突き落とした可能性があると思ったウンジュは、自死に偽装してしまった。
さらに目撃者である警備員に口止め料まで払い、問題の種を広げ。
なによりすぐに救急へ通報をしなかったことで、ソンホの状態がより悪くなってしまった。
すぐに通報していればソンホも助かり、ジュンソクも苦しむこともなかった。
(夫の大きな罪も表に出ることがなかったかもしれないけど、そこは表に出た方が良かったかもな)
主人公イナとウンジュの対照的な家庭の様子というのも、ドラマの注目ポイントです。
特にそれが顕著だったのが、息子がダヒの暴行犯だという疑惑を突き付けられたときのこと。
イナもウンジュも激しく動揺し、息子を信じられなくもなってしまったのですが・・・。
イナの場合は夫も支えてくれましたが、なにより娘の言葉がきっかけで息子を信じることができた。
で、自らソンホの身の潔白を証明することに成功したわけですが。
ウンジュの場合は夫も罪の隠蔽しか考えていないし。
息子が信じられないウンジュは息子との間に距離ができ、家庭内でもどんどん孤立。
そもそもイナの場合はダヒの両親から「ソンホが暴行犯だと娘が言った」と聞かされたわけだから。
息子にとって唯一の希望とも思っていたダヒの秘密が、息子に暴行されたということだったんだからな・・・。
そりゃあ頭の中は真っ白だ。
一方でウンジュの場合はソンホがジュンソクに問い詰めている音声を聞いただけ。
ジュンソクははっきりと否定していたし(本当にやっていないし)、イナに比べたら息子を信じれる余地もあったと思うけどな。
まあ、普段から息子が性格に難のある旦那の影響を受けていることも不満だったわけだからな。
このやりとりの後にソンホが屋上から転落している様子は見たわけだし、息子を信じられなくなるのもわかるけども。
なんにしても厳しい現実に陥ったとき家族で支え合ったイナと、バラバラになっていくウンジュの対照的な様子は印象的です。
最後は諸悪の根源だった旦那の悪行の証拠が入ったUSBを警察に提出したウンジュ。
自分の罪とも向き合ったウンジュです。
しかし凄いのはイナとウンジュが和解したところですね。
絶縁状態になりそうなところですが、最終的にイナはウンジュの行いも理解した。
ソンホがおそらく後遺症もなく元気になったことから心の余裕はあったでしょうけど、それにしてもね・・・。
ダヒの一件で加害者の親の心境もわかったというイナ。
ソンホが回復したからという大前提はあるものの、ウンジュにも理解を示した心の広いお母さんです。
まあ、他のいじめ加害者の親2人が、謝罪すらしないというヤツらだったしな・・・。
悪いこととはいえ息子を守るための行動だから、そこはわかる面もあるんでしょう。
すぐに救急に通報しなかったこともソンホが回復したから水に流せるのか。
ソンホがジュンソクのことを恨むようなこともなかったし、あんな息子の姿を見たら憎む気持ちも薄れるかもな。
なんにしても、ただの悪役ではない母親として見事にキャラを消化したチョ・ヨジョンです。
ぶっちゃけ、イナとウンジュのキャストが逆だったら、ウンジュはただの悪者みたいな印象になっただろうからなw
逆でも両者うまく消化したとは思うけど、ドラマの印象はまったく違っただろうな。
チョ・ヨジョンは母の愛情だけでなく、崩れていく家庭をうまく演出しましたね。
(チュ・ジャヒョンだったら悪役の側面が強く印象付くと思う・・・)
凍てついた愛はそこらへんのキャスティングも素晴らしかったですね!